山本潤子(vo,g)新川博(e.piano,accordion)井川恭一(g,cho)

中原恵一郎(映像監督)加藤晴美(録音)

 

♪たまに逢う人
外からのやわらかい日差しを受けてカフェライブの始まりです。最初はちょと意味深な曲。全然ないではない、でも頻繁にではない、たまに逢う男女のうたです。一緒に暮らすと何かが育つかわりに、男女の間から何かが消えてゆく、それが生活というもの。それが分かっている二人のうたです。誘うのはいつも男から。待ちながら揺れる女性のうたとも言えますが、実はこの関係に大きく翻弄されているのは一見クールそうな男性の方なのかもしれません。


♪笑顔を見せて
ギターアルペジオがカフェ空間にかろやかに転がります。今は亡きカフェシエスタのマスコット犬ジュリーは、店に入るといつもすぐにすり寄ってきて、笑顔を見せてくれました。すぐにプイと行ってしまいはするのですが。優しくて凛とした潤子さんの歌声が素敵です。曲あと、演奏を傍らで腹ばいになって聞いていたジュリーの吐息が聞こえます。


♪なんとかなさい
かまやつひろしさんの「どうにかなるさ」に対抗して作りました。開き直る男性に対して、女性が最後通告をする歌です。カフェを飛び出して公園で収録しました。
新川さんのアコーディオンが実にいい感じなのですが、仏頂面で奏でる新川さんがこの曲で女性に問い詰められてる当人に見えてきて(失礼!)笑えます。


♪人って不思議だ
どんな気持ちになるかはそのときになってみないと分かりません。幸せを掴んだ途端に虚しくなったりするから人って不思議です。おなかがいっぱいだとありがたみが薄れるなぁ、ちょっと足りないくらいが丁度いい、日ごろからそう思うのであります。


♪日常
寝て起きて新しい日が始まるわけですが、それが昨日を、そのまた昨日をひきずってる気分で目が覚めることはありませんか?新しくないのです。心がわさわさするのです。いつから始まったか、いつまで続くか、この日常。足りないものをエレピの優しい音がうめてくれるようです。


♪ある晴れた日に
業界では、「潤子さんはタンバリンやシェイカーを振らせたらすごい」、という定説があります。つまりリズム感が抜群なのです。この曲の軽快なギターカッティングにご注目あれ。


♪思い出の町
人生のいろんな出来事が、眼下に見下ろすひとつの町の中で再現されてます。集大成というほど大げさなものではなくとも人生はいろんな場面の寄せ集めだと思います。それを俯瞰しながらこの世にサヨナラできたら素敵かも。収録は緑が溢れる公園で。ちょうど小学校の下校時間にあたり、子供たちに見守られて演奏しました。


♪ヒトイロ
昼のあったかい日差しはどこへやら、夜があたりまえのようにやってきました。シーンは一気に金沢の夜に飛びます(この曲は金沢で生まれたのです)。強烈な色を放つ人物にどうしようもなく惹かれていくこの女性はまだ自分の色を持っていません。車窓に浮かぶ月の色に、女性は自分の探し求める色を重ねあわせます。エンディングにフェイドアウトしていく潤子さんの横顔が素敵です。


♪あったらいいなと思うもの
イラストレーター辻あつこさんの一言添えイラストから広がって出来た曲です。カフェシエスタの雰囲気が演奏をとてもリラックスしたものにしてくれました。店内にたくさんの♪記号がふんわり浮遊しているようです。新川さんのエレピによる後奏がとてもハートフル。


♪Don Don Don
セサミストリートのテーマ曲をイメージして最初は4ビートだった曲。世の趨勢として、年齢を重ねていくうち、どんどん元気になっていく女性、一方どんどん意固地になっていく男性。どうせなら仲良くいきたいものです。アコギ二本とエレピのシンプルな編成が醸しだすグルーヴと、中原組による斬新でライブ感溢れるカメラワークをお楽しみください。


♪あと100年もすれば
この曲には実はパーカッションが入っています。カフェにある古い大きな時計の針はもう止まっていてオブジェとしての存在になっていますが、このDVDの収録中に不思議なことに何度かチクタクと動いたのです。あたかも曲に呼応するように、ときに拍手するように。チクタクチクタクと時を刻む音を心の中で鳴らしながら演奏しました。

カフェで過ごす一日、いかがでしたか。明日も元気で。おやすみなさい。

 

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