と女 (66年フランス)

   

 昨年12月に青森の弘前に仕事で行ったとき、駅からタクシーに乗ったら運転手さんが,「お客さん、どっから来ただば?」「仕事で来ただば?」と尋ねてきた。だば、だば、という語尾が印象的でその日のステージのMCでこのことを話したら、それを受けてJさんが「私は青森弁はフランス語に聞こえる」という新説?をのたまわれた。このことが潜在意識に刷り込まれたのか、ツタヤでこの作品を見つけ、気がついたら借りていた。


 「ダバダバダ ダバダバダ~」のテーマ曲は子供のころプールサイドで聞きながらアンニュイな気分になったりしてたが、、映画をちゃんと観たのは今回初めて。海辺、海鳥、犬の散歩、ボサノバ、カーレース、ホテル、列車、雨のドライブ、と心地よい素材がいっぱいだ。「男と女」の女のほうの髪型と笑顔が素敵。事故死した前夫のことが忘れられないという設定で、確かに前夫との回想シーンでは実に自然ないちゃいちゃぶりだった。それもそのはず、なんとこの映画の撮影後にこのふたりは実際に結婚したという。ちなみにこの女優、アヌーク・エーメは五回も結婚してるらしい。というわけで、「男と女」の男のほうは映画中でも、私生活でもなんか置いていかれているのであった。当然、映画の中でも、このふたりはどこかよそよそしく思える。バツイチ同士の後ろめたさのなせるわざかと観てるときは思っていたが、そういう後の事情を考えれば、実際アヌークサイドは気持ちが入っていなかったのかも。

 

 そしてそして!問題はラストシーンである。男が駅のホームで女を出迎え、ふたりは抱擁しハッピーエンドかと思わせながら、最期の最期のシーンで背景が白ヌキになるところで、どうも女は顔をそむけ接吻をいやいやと拒んでるように見えるのだが。これはどう解釈したらよいのか?前夫を思い、男にうまく体を委ねることができなかった女、やっぱり男を拒否してしまうのか?ぜひ、観て確認していただきたい。


 印象に残ったシーンは、女からの愛の電報を受け取った男が、一目散に女のもとを目指して、車を走らせ、やっと海べりでめぐり合えたそのとき、黒い犬がその海べりを走りまくっているところがわりと長めに映し出されるところ。オスの高揚感というのが素直に現れているシーンだ。よくいえば生の躍動感、ベタに言えば男のしてやったり感。数千キロを一晩で走って女に会いに馳せ参じる男、確かにすごい情熱なのだが、精子が卵子にたどりつく様を彷彿とさせた。実際、精子レベルでもこれくらいの距離は卵子めがけて一目散に泳いでいるかもしれない。かように男という性はつくづくまっすぐだ。折れやすいけどね。